仙台の魯迅――『藤野先生』
仙台を訪れるたびにまず頭に浮かぶのは魯迅のことだ。魯迅は明治30年代の日露戦争の最中に仙台医専に入学し、そこで藤野先生と出会った。魯迅の『藤野先生』は、言葉をはじめさまざまなハンディを抱え偏見の中で学ぶ中国人留学生魯迅に、温かい指導を惜しまなかった一人の教師を、深い敬愛をこめて描いた作品だ。
世界的文学者魯迅が「生涯の師」と慕った藤野先生は、仙台医専が東北大に昇格する際に郷里福井の田舎町に帰り、そこの開業医として生涯を終えた。困っている患者からは金をとらず、自分が借金に苦しむような医者で、魯迅の作品に自分をモデルとしたものがあることを人から知らされても、進んで名乗り出ることをしなかったという。
東北大片平キャンパスの仙台医学専門学校跡地の碑の側に魯迅の胸像が建ち、魯迅の学んだ階段教室も保存されていて、一九九八年には当時の江沢民主席もそこを訪れている。私が見学の機会を得たのはその直後だったが、黒板に魯迅をたたえる中国人のメッセージがいくつも残されていた。
魯迅の学んだ階段教室(東北だ片平キャンパス 撮影1998・8)
旧仙台医専階段教室概観▲
▲東北大学片平キャンパス
魯迅の下宿跡――仙台市米ケ袋1
魯迅顕彰碑(仙台市博物館)▲
魯迅像(仙台市博物館)▲